Interview

Bringing New Life to Scrap Wood.
"IBUKI WORKS"

Our Team

  • Tomoaki Senzaki
  • Takefumi Kondo

Interview

廃材に新たな息吹を 「IBUKI WORKS」

暮らしに欠かせない「廃棄物回収事業」「浄化槽保守点検」「清掃汲取事業」「アメニティ事業」飲食事業」を展開する「国分寺産業」(下野市、田村友輝社長)。産廃物を限りある資源として電気やガス、肥料といったエネルギーに転換を、さらに食を通した感動・地域の活気創出を図る同社に新事業が2021年12月、誕生しました。

不用品買取・処分、家財整理、さらに、廃材を家具や額縁、リノベーションの材料に昇華し、新たな価値を生み出すアップサイクル事業「IBUKI WORKS」です。同社廃棄物リサイクル課の先崎友亮さんが買取・処分、販売など主に営業を、元社員で現在は実家の農業に従事する近藤健史さんがリペア、リデザインなど製品化を担当。

「捨てるモノに新たな価値を、新たな息吹を」と立ち上がった2人の思いを聴きました。

きっかけは約3年前、近藤さんが田村社長とアップサイクル事業に取り組む長野県の企業を視察。自社の既存事業の延長でできる新たな取り組みとして、廃品回収、処分、一部販売からスタートしました。

昨年末、家業のため退職する近藤さんに代わり先崎さんが社内ベンチャーとして本格始動させました。

事業として確立させようと思ったのはなぜですか。

先崎(以下、先)まずは『廃棄が勿体無い』から始まり、先輩事業者やリサイクル家具店などの方との付き合いが広がる中、処分以外の道、新たな価値を生める方法がたくさんあると分かったからです。
イブキワークスとして家財整理、買取、処分と廃材集めを請けて、リノベ、リペアなどの案件があった時にタケ(近藤)さんに依頼する流れにしたいと。僕らの手で蘇らせたいと思ったんです

貴社の掲げる「エネルギー創造」の新たなカタチですね。
立ち上げから約半年。どんな所に一番面白味を感じますか。

近藤(以下、近)それ、究極だな。モノを一から作るっていう発想だけではなく、個々それぞれの個性、特徴を生かして、また新しいものを作るという所に面白味がありますよね。
ただ、僕の技術がまだ少ない。理想に近づけるよう腕を磨いていきたいです。

先:僕はまず、仕事の見方が変わりました。以前は単純に捨てていたけれど、『あ、これまだいけるな』とか、タケさんに『治せますか』とか。面白いですよね。
いずれは洋服とかも含めてやりたいです。でも、僕はお客様と接点を持つ方が好きなので修繕、製造はやらないと決めています。解体の現場に行ったときに『廃材の一部を再生して、思い出を残しませんか』とどんどん提案していきたいです。

普遍的なものもあるけれど時代性が出ている家具も多いですよね。イブキワークスに頼めば、おじいちゃん、おばあちゃんが使っていた家具を今の生活仕様に合わせてリノベできるっていいですね。自然に、思い出を残せておけますね。 そういった想いを引き出して近藤さんに伝えるというのは先崎さんの得意を生かせそうですね。
良いコンビネーションですが、お付き合いはどのくらい。

:10年くらいですかね。(先崎さんは)年下の上司でしたが、変に気を遣わずに率直にいろいろ言ってくれたので僕は楽でした。
『先崎とだからできた』というのはありますよね。

:めっちゃ、ほめるじゃないですか。
タケさんは・・・面白い先輩です。

近:説明、下手か!(笑)

先:逆にタケさんが言いやすい状況を作ってくれていたというのもあります。『辞めても手伝うよ』と言ってくれた時が一番うれしかったです。

率直に意見を出し合える関係なのですね。
立ち上げ後、どんな依頼、製作がありましたか。

先:市内飲食店の個室にリサイクル家具をセッティングし、自社グループの「魚屋 食処 源天」の一室のコーディネートも任せていただきました。

近:あとは、キャンプ用のマルチスタンド。レスキューしてきた大量の建具の脚とタンスの引き出しのカバー部分を組み合わせた完全なアップサイクル商品で、数台作りましたが数日で完売。追加オーダーもありました。

先:マルシェにも2個持っていって、すぐ売れました。買ってくれたお一人は花置きに使ってくれています

近:イブキワークスのビジョンは『失われるものにもう一度息吹を与える』。その価値を広めたいです。できるだけ多くの人に、多くの人が集まる場所で使ってほしい。サスティナブルの輪を大きくしていきたいです。
絶対にいいことだと思うので

あと、建物丸ごとをイブキワークスでプロデュースしたい。物販、サンプル展示もかねて丸々やりたいです。自分たちのコンセプト通りに作ったお店ならどこをつっこまれても自分たちの思いが話せる。チョー楽しいなと。

先:全部屋をリフォームしたいので賃貸で『イブキハウス』をやりたいです。タケさんが作った家具を入れた部屋を借りてもらえたらいいな、と。宅建の勉強中です

近:傷の状態とか〝やれ感〟とか写真でも伝わらない部分があるので、肉眼で見て価値を分かって、買ってほしい。それが一番です

製品を作っていると愛情が湧きませんか。

:ありますね。お客さまがイブキの製品をインスタなんか上げてくれるとめちゃくちゃうれしい。こんなにうれしいのか!と思うくらい。逆にエネルギーもらっていますね。

でもまだ本当に何も知らない事ばかり。これからいろんな人に会い、スキルアップして。その時に皆さんの役に立てればと思います。

:僕はただ頑張るのみです。直にお客さんの声が聞けることがうれしい。だから、商品、廃材を見る目を養って、たくさんの良いものを再生させていきたいです。

IBUKI WORKS』は社内ベンチャーのようなもの。これって働く人たちの希望、新しい道を作っているんじゃないかなって。だから、利益を生み出していけるよう頑張ります。

廃材と言われるモノに温かな眼差しで向き合い、個性を見出し、新たな価値を創造する二人。持続可能な社会の実現という使命感と「やりたい仕事を自分でつくる」という情熱、エネルギーを両輪に走り出した二人がどんな息吹を生み出していくのか。ワクワクせずにはいられません。

 

Interviewing and writing: Atsuko Aoyagi / ao.Inc
Photo: Toru Aoyagi / ao.Inc

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